土づくりに含まれる技術要素が土壌病害の 発病程度に与える影響

摘要

土壌病害とは、土壌中に生存する病原菌が 植物の根などの地下部分に感染、侵入して発 生する病害である。病原菌の種類は、ウイル ス、糸状菌、細菌など多岐にわたっており、 それぞれに異なる発生生態や伝染環を有して いる。また、これらの病原菌は栽培する作物 の種類、連作年数、土壌条件などの違いによっ て、土壌中の菌密度や植物体への感染程度が 異なってくる。そのため、同じ種類の作物に 同じ種類の病害が発生した場合であっても、 その発病程度は作物収量にほとんど影響しな いものから、壊滅的な被害が出るものまで 様々である（写真1(土壌病害の発生事例)）。 ここで、土壌病害の特殊性どして、ひとたび これらの病原菌が土壌に住み着くと、その排 除はほぼ不可能であることが挙げられる。し たがって、防除対策としては、病原菌を畑に持ち込まないことが基本となるが、病害が発 生した場合は、病原菌密度を増加させずでき るだけ減少させる取り組みが必要であり、ま た複数の手法の組み合わせでようやく防除効 果が発揮される場合が多い。