FSO通信システムの設計に関する検討－FSOシステムの実験的アプローチ

摘要

近年，光無線通信（FSO：Free-Space Optics）システムは，使用周波数帯域の制約を受けず光ファイバネットワークに近い超高速通信が提供できるため，都市部におけるビル間でのプライベートネットワークの構築への利用，基地局間通信，光ファイバの施設が困難な地域，山間部や離島への通信が有望とされてきた．さらに，災害時の臨時回線への応用があり，9.11テロ事件時のネットワーク復旧や中越地震での光ファイバ復旧までの間に適用された事例がある．しかし，既存システムでは，ファイバー自由空間－ファイバ接続における光ファイバと自由空間区間との接続には光／電気変換により波長変更に伴い通信速度に制約があった．このため，光／電気変換を行わず全区間同一の波長とする次世代型超高速FSOシステムを構築し，大気変動による伝送特性の影響およびシステムの性能を検討してきた．この全区間同一の波長とする次世代高速FSOシステムの実現はPSOシステムにおける究極の目標の1つであった．開発した次世代システムの実用性を確認するため，10Gbps超伝送（1.28Tbps伝送実験も実施），WDM伝送，RoFSOシステムなどの長期実験を行ってきた．本文は，長期実験で得られた様々な結果について述べたものである．