資源循環型農業と土壌肥料

摘要

豊橋技術科学大学の三枝です。一般財団法人肥料経済研究所の本年度第2回の肥料経済研究会 にお招き戴きありがとうございました。本日は、 資源循環型農業と土壌肥料ということでお話しい たします。本題に入る前に、豊橋技術科学大学に ついて若干ご紹介しますと、この大学は、名前の とおり技術を科学しより高い技術を創造する学 問、『技術科学』の教育、研究を使命としていま す。もともと工学系の技術を中心に取組んできた わけですが、大学のキャンパスがあるこの地域に は豊橋市、田原市、浜松市等々農業生産高が非常 に高tゝ農業先進地域が集中していることもあり、 各方面からこの地域の農業の近代化に積極的に取 組んでいただきたいとの強い要請があつたと聞い ています。私が所属している先端農業、バイオリ サーチセンタ一も、このような地域の要請に応え るかたちで、本学の開学30周年を記念して2006 年10月に設置されました。工学系の技術を積極 的に農学に導入し農業の生産性向上、更には、農 業の近代化等に寄与するということで、要素技術 部門、農環境システム部門の研究に加えて、統括 研究部門として、地元の5つの信用金庫のご協力 により寄付講座、「しんきん食農技術科学講座」 が設けられたわけです。2007年3月に東北大学を 定年退職し此方に参ったわけですが、この講座を担当して丸7年になるというところです。ご承知 のとおり施設園芸が盛んな地域でありますから、 この間、専ら施設園芸を中心に研究活動等を展開 してきました。民主党から自民党へ政権が再交代 し第二次安倍内閣が誕生したわけですが、農業' 農村の再生が重要な政策課題とされ、特に、土地 利用型農業を中心に農政の大転換を図るベく検討 が進められています。新政権が標榜する儲かる農 業ということであれば、この渥美半島を中心に展 開されている施設園芸を中核とした農業はまさに これを先取りした取組になるのかと思っていると ころです。実際に携わってみて施設園芸について は土壌肥料の果たすべき役割がまだまだ多いと再 認識しているわけですが、以前、取組んでいた土 地利用型農業の研究内容等も含めて農業生産コス 卜の低減、更には農業、農村の再生に向け土壌肥 料分野で如何なる対応があるのか両者を対比しつ つ問題提起ができればと思います。