地域在住高齢者のウォーキング実践と複数回または傷害を伴う転倒の関連-転倒リスク保有数による差異-

摘要

1年間に地域在住高齢者の約3人に1人が何らかの転倒を経験しており，転倒·骨折は本邦の要介護化要因の第5位に挙げられている.人口の高齢化がさらに進行してゆくと，転倒の発生頻度やその重傷度はさらに深刻化する可能性がある.このような事態を防ぐべく，転倒要因の解明や転倒予防プログラムの開発が進められ，地域での転倒予防の取り組みも展開されている.本邦では高齢者の健康維持·増進のために歩数の目標値が提唱され，歩行を中心とした身体活動量の増加が推奨されている.ウォーキングは適度な強度で，手軽に，自宅において，1人でも実践可能であり，循環器系疾患のリスクを低下させる効果も報告されている.内閣府の調査では，44.2%の人が過去1年間にウォーキング(歩け歩け運S力，散歩などを含む)を実践したと回答し，運動種目の中で第1位であった.