動物と植物の境界オルガネラ獲得モデルミドリの生き物たち（ミドリゾウリムシ,ミドリアメーバ,ミドリヒドラなど）

摘要

原生生物や小型の動物の中には,細胞内にクロレラの仲間を 共生させているものが多く知られている.その中でも有名なの は,繊毛虫の一種のミドリゾウリムシや,刺胞動物の一種のミ ドリヒドラ（あるいはグリーンヒドラとも言う）である.これ らの生物では,共生クロレラは宿主の細胞内に一重の細胞膜で 取り囲まれて存在しており,宿主の世代を超えて安定した共生 関係を維持している.共生クロレラは,繊毛虫や後生動物のみ ならず,かなり広範囲の生物を宿主としている.例えば,スト ラメノパイルの一種である無殻太陽虫類や,アメーボゾアの一 種であるマヨレラ（ミドリアメーバとも言う）などとも共生関 係を成立させている（図1).また,このように多様な他のスー パーグループに属する生物と共生関係を確立したクロレラの仲 間は単一の種類ではなく,クロレラ属やミクラクチニウム属（こ こではこれらを総称して共生クロレラと呼ぶ）に属するいくつ かの特定の種が,このような性質を示すことが知られている~(1).