tRNAプロセシング·修飾酵素の構造生物学

摘要

rRNA，tRNA，snRNAを始めとする機能性RNAは，RNAポリメラーゼによって前駆体として転写された後プロセシングを受けて正規の長さとなり，さらに様々な転写後修飾を導入されて，機能的なRNAに成熟する．rRNAにおいて修飾部位をマッピングすると，最も重要な活性部位であるペプチジル転移部位の近傍に集中している．このことから修飾は，RNAの触媒活性そのものに働くのではないが，触媒機能に必須な構造を安定化することで触媒効率を上げていると考えられる．また最近では，修飾を導入する過程自体が，RNAのリフォールディング（RNAシャペロン）として働いていることが示唆されている．本稿では，tRNAのプロセシング?転写後修飾の過程が，構造生物学により，どの程度まで原子分解能で説明できるようになったかについて概説したい．