細胞増殖因子HB-EGFの切断とその生物学的意義

摘要

上皮増殖因子（EGF）ファミリーのすべてのメンバーは膜結合型として細胞膜に発現した後，ポストトランスレーショナルプロセシング（切断）により遊離型となる．この切断は多種の細胞外刺激に応答し，細胞内シグナル伝達の多様性を生み出す重要なステップとなっていることが明らかになりつつある．EGFファミリーメンバーの1つであるヘパリン結合性EGF様細胞増殖因子（HB-EGF）の切断は創傷治癒反応や動脈硬化，心肥大といった循環器系疾患に見られるシグナル伝達経路の重要な反応となっている．HB-EGFの切断の分子機構とその生物学的意義について述べる．