オリゴデンド□サイト前駆細胞

摘要

発生，分化。疾患などの高次生命現象を解明するうえで． 細胞レべルの解析は重要であり． これまでに医学·生物学の先駆者たちが様々な細胞の分離·精製·培養を試みてきた． しかし． どれほどの細胞が個体内での機能を保持した状態で精製され． 研究に使われているだろうか？ 視神経オリゴデンド□サイト前駆細胞(OPC）は． A2B5抗体により100％ の純度で精製することが可能であり． 分化誘導によりすべての細胞が同時期にオリゴデンド□ サイトに分化する． これほど均一な細胞集団を生体内から単一抗体で簡単に精製でき．研究材料となる例はきわめて稀である． 写真は，筆者がOPC研究の第一人者Martin Raff教授の研究室で精製したOPCの免疫染色像である． "Unanswered question的にどのように取り組むかというRaff教授の教えとOPCとの出会いが． 筆者にOPC分化阻害因子の同定． OPCの幹細胞化とその分子機構の解析． そして癌幹細胞と細胞老化についての新たな実験系の構築とそれらに関わる因子の同定へと導いた1)-5)近年の革新的な研究技術と実験機器の開発に伴い． 今まで想 像もできなかった遺伝子． タンパク質修飾，代謝，バスウ工イ解析などの網羅的·多元的な解析と生体社会内での個々の細胞の動態解析が可能となり始め． さらなる“Unanswered question日にどのように答えるか．OPCを利用した研究の魅力は尽きない．