ピロリ菌感染によるエビジェネテイック異常と発

摘要

DNAメチル化異常に代表されるエピジエネテイック異常は発癌の原因として重要である．ピロリ菌感染は，胃粘膜上皮 細胞において. CDKN2A,MLH1,CDHIなどのN抑制遺伝子(ドライバー)．およびその他の遺伝子(パッセンジャー) のメチル化を誘発する．炎症を抑制するとDNAメチル化異常が誘発されないことから．炎症がメチル化異常の誘発に必 須である．また，DNAメチル化レべルは除菌により低下することから，ピロリ菌感染により誘発されたDNAメチル化 には，一時的メチル化と永続的メチル化とがあると推定される．後者は幹細胞に誘発されたメチル化異常である可能性 が高く．発癌リスクとよく相関する．様々な遺伝子のDNAメチル化異常が蓄積した胃粘膜は発癌の素地を形成しており， その程度の測定は発癌リスク測定に有用である．