偏極中性子による磁性研究― 定常よびパルス中性子源の相補利用による新展開―

摘要

極中性子を活用する磁性研究の手法は原理的には中性子散乱の初期からその重要性が認識され，原理実験として検証されてきた．しかし当初技術的に十分な強度の偏極中性子ビームが得られなかったために，なかなか本格的利用に到らなかった．近年，中性子源の増強と偏極デバイスの発展により，比較的強度の強い偏極中性子ビームがょり一般的に使用されるようになってきた．この小文では偏極中性子散乱の概要を解説し，これまで日本原子力研究開発機構東海サイトのJRR-3定常中性子源実験施設で行われてきた実験例を紹介してその有用性を示すとともに，これからのパルス中性子源施設との相補利用による有効性を展望したい．