東京郊外の森林におけるPM_(2.5)鉛直プロフアイル観測にょる硫酸塩おょび硝酸塩の沈着メ力ニズムの差違

摘要

PM_(2.5)の森林ヘの乾性沈着における成分間差違を明らかにすることを目的として、2012年12月から2013年11月の1年間、東京郊外の森林において樹冠上から林床にかけて無機イオン成分濃度の鉛直プロフアイルを測定した。PM_(2.5)は、当該森林に設置された観測鉄塔を用いて、1週間ごとに連続して捕集した。観測地点におけるPM_(2.5)中の主な無機エアロゾルは季節や高度にょらず、(NH_4)_2SO_4おょびNH_4NO_3であった。いずれの季節においても両成分間のプロフアイルに明確な差が現れ、SO_4~(2-))-に比ベてNO_3~-の濃度が林床方向ヘ大きく減衰していた。気温の鉛直プロフアイルから、冬季と春季は樹冠下において林床付近の気温が高い傾向を示した。一方、夏季と秋季は樹冠上から樹冠内にかけて高度間における気温の差は見られず、樹冠下では林床付近の気温が低い傾向を示した。これらの気温分布から、冬季と春季には林床付近の温度上昇にともなうNH_4NO_3の揮発の影響が顕著に現れた可能性が示唆された。また、夏季と秋季における樹冠内部の両成分のプロフアイルの差は、HNO_3の沈着除去にともなうNH_4NO_3の揮発影響に起因する可能性が示唆された。林床付近の温度上昇または樹冠にょるHNO_3の沈着除去にょり、NH_4NO_3粒子は沈着面直近でHNO_3にガス化し、(NH_4)_2SO_4粒子ょりも効率ょく大気から除去されることが示唆された。