東アジア酸性雨モニタリングネットワ一ク(EANET)と中国におけるEANET活動~現状及び今後の課題に関する考察~

摘要

東アジア地域は、世界の約3分の1の人口を有し、中国、アセアン諸国等の発展途上国及びロシアなども近年目ざましい経済成長を遂げている。しかしこれに伴い、一方で汚染物質の排出量増大等による深刻な大気汚染問題にも直面している。こうした状況を踏まえて1990年代に行われた「統一したモニタリング及び地域協力の必要性」にかかわる議論を踏まえ、1998年の第1回政府間会合(IG1)の決定に基づき、同年4月から東アジア酸性雨モニ夕リングネットワ一ク(EANET)試行稼働が行われ、2000年の第2回政府間会合(IG2)の決定に基づき2001年から本格稼働が開始されている。また2010年11月の第12回政府間会合(IG12)において「EANETの強化のための文書（以下「文書」と略称）」が採択され、全参加国代表者の署名を経て、2012年1月1日から文書に基づく活動が開始されている。このEANETは東アジアのほとんどの国が参加している広域組織である。ここでは、その組織及び活動の概要とともに、主要参加国の1つである中国に関する部分を中心に活動の現況、問題点及び今後の課題等について解説する。