鮮新世における日本海への暖流の流入一富山市八尾町の三田層産軟体動物群の検討を通じて－

摘要

鮮新世の中期の温暖期には，暖流が日本海に流入した．まてんとくた，その暖流の流入の影響は新潟県の鍬江層や秋田県の天徳じ寺層に及んでいたことが軟体動物，貝形虫，有孔虫化石などにより明らかになってきた（ShimamotoandKoike，1986；小笠原ほか，1986；Irizukも1996；天野ほか，2000aコb；北村?木元2004；三輪ほか，2004a，b；KitamuraandKimoto，2006；Irizukietal，2007；人月石乳2007；天野，2007）．的場（1978）が暖流系有孔虫から日本海への暖流の影響を指摘して以来　 この暖流の流入が間欠的に生じたとされてきた．暖流の影響を検討するためには表層水温の変化を受けやすい上部浅海帯の軟体動物群を検討する必要があるが，上記の鍬江層や天徳寺層は主として上部漸新海帯 虏壳澈·硕逊eしており，ジ暖流系種が認められている産地は異地性の産状を示す産地に限られている（天野ほか，2000a，b）．十方微化石により鮮新世の中期と同定された上部浅海帯の軟体動物群のおぎくぼ報告は乏しく，わずかに長野県北部の荻久保層から上部浅海帯の軟体動物群が知られているにすぎない(天野·唐沢）.