嫌気性アンモニア酸化反応を利用した廃水処理技術に関する基礎的検討

摘要

新しい窒素除去技術として,嫌気性アンモニア酸化反応を利用した廃水処理(アナモックスプロセス)が注目されている。本研究では,アナモックスプロセスの実用化を目的に,アナモックス菌の馴養と.集積,およびアナモックス反応の前処理として必要なアンモニアの亜硝酸化について基礎的検討を行った。種々の活性汚泥,および土壌から人工廃水を用いアナモックス菌を集積した結果,廃水処理施設,下水処理施設から採取した汚泥を種汚泥とすることで,アナモックス活性をもつ汚泥が馴養できることが明らかとなった。集積されたアナモックス汚泥を用いて,アナモックスプロセスに最適なリアクタ型式を検討した結果,固定床式リアクタにおいて高い窒素除去速度が確認された。また,アナモックス菌が集積されたリアクタ内では,ほぼ一種類のCandidatus Brocadiaに属する株が優占化していることが菌叢解析により明らかとなった。アンモニアは,pH制御によって硝酸の生成を抑制し,亜硝酸化が可能であった。