医療被ばくをめぐる動向

摘要

放射線は、レントゲンがX線を発見した直後から、医療に欠がせないツールとして利用されてきました。現在では、CTやPETなどの診断、X線や粒子線を用いた治療、IVRなど幅広い分野で利用され、その技術はますます高度化しつつあります。一方で、医療被ばくのリスクに関する情報がマスコミなどで報道され、患者、特に小児や女性の被ばくの影響を心配する声も聞かれます。医療の現場では放射線診療に対する患者の疑問や不安への対応が重要な課題になりつつあります。放射線防護の基本的な考え方は、80年以上の歴史を持つ国際放射線防護委員会（ICRP）が勧告として発表してきました。2007年には、それまでの1990年の基本勧告を改訂してPublication 103として新たな勧告が刊行されました。この2007年勧告では、これまで以上に医療被ばくの防護が重視されています。