現代日本における産業遺産の保存と活用

摘要

2015年に登録された「明治日本の産業革命遺産製鉄·製鋼、造船、石炭産業」の構成資産は、長崎県に所在する8件を含め、いずれも「産業遺産」と呼ばれるヵテゴリに属するものである。産業遺産といぅ考え方は、1990年代以降の日本において国や自治体の文化政策に取り入れられ、以降、その認知度は徐々に高まつていつた。様々な産業遺産の世界文化遺産登録もこの認知度向上に一役買つており、2007年には「石見銀山遺跡とその文化的景観」、2014年には「富岡製糸場と絹産業遺産群」が登録されている。そこで本稿では、産業遺産がどのような視点から保存活用なされるに至つたかについてまず説明する。その上で、現在産業遺産が実際にどのょぅに保存活用されているかを概説する。