1 2 0 年の蓄積と重み 議会開設百二十年記念議会政治展示会開催に際して

摘要

文久2(1862)年ィギリス議会を初めて見た福 沢諭吉が、しのぎを削って言い争いながらも、後 に同じテーブルで酒を飲み交わす与野党議員の姿 を見て「訳がわからない」と不思議がらたという 話は有名だが、それから28年後の明治23(1890) 年には日本でも帝国議会が誕生した。今からみれ ば悠長に感じられる28年間だが、おそらく当時 の人々にとってはさまざまなアイデアが浮かんで は消え、消えては浮かぶあわただしさの連続の末 にやっと漕ぎ着いた制度であったと思われる。展 示会の第1部は、このようなあわただしさにもか かわらず、考え抜かれかつ創造性に満ちあふれた 史料群によって構成されている。ただし、こうし てできあがった議会制度は、考え抜かれたもので はあっても、完成したものではなかった。制度も 手続きも、議会を開設してから一歩一歩手探りで 始めなければならなかったのである。