シェービングねじ成形接合法による薄板重ね継手の形成

摘要

シェービングねじ成形接合の原理を用いて，各種の薄板で重ね継手の形成を試みた．得られた主な結果を次に挙げる．1）おねじで重ね板の下穴内壁にめねじをシェービング成形することにより，金属およびプラスチックなどの薄板を重ね合わせ接合できる．2）低荷重で締結できる．傾斜ねじ山よりも平坦ねじ山の角ねじの方が加工力は低い．騒音発生がきわめて小さく，かしめ作業が必要ない．3）止めねじ形状を採用すれば,継手表面を平坦にできる．必要に応じてねじ締結を解除できる．4）接合界面は全内壁でおねじとめねじが噛み合い，完全に密着する．5）比較的高い継手強度を得ることができる.おねじのピッチを小さくねじ山数を増して，噛み合い数を増すと値は向上する．6）頭付きおねじの利用と下端への据え込み頭部形成を併用すれば，引張応力下での反りとねじ抜け現象が抑制され,継手強度が著しく改善される．7）おねじが薄板に比べて必要な硬度差を持たない場合には，シェービング成形時に損傷しやすい．8）プラスチックなど塑性変形能が十分でない薄板にはおねじ加熱が適用できる．終わりに，本研究を遂行するにあたり，有益な示唆を賜った玉川大学工学部·岡井紀彦教授ならびに倉持茂教授，また実験を遂行するにあたり協力くださった玉川大学工学部機械工学科卒業研究生（当時）·松井俊郎，柴田健司，坂本恒平，松井徹の諸氏に感謝します．なお，本研究は平成11-12年度高橋産業経済研究財団の研究助成によってなされたものであることを記し,謝意を表します．