「高強度化材料創製のためのくり返しせん断変形加工の研究」を受賞して

摘要

この研究は，平成8年より開始しました日本学術振興会「未来開拓学術研究推進事業研究プロジェクト」理工領域「次世代プロセス技術」の研究プロジェクト「構造用エコマテリアル創製のためのメゾスコピック材料プロセス技術」というテーマの中から生まれたものです。 この研究プロジェクトは，環境に調和した再利用可能な無機材料を対象とし，高強度化した"エコマテリアル"を形態制御プロセスによって創生することを目的としていました。 具体的には，制限なく添加元素を使用する冶金的手法を用いるのではなく，金属材料の形態制御っまり結晶粒径を微細化することにより高強度化を達成しようとするものでした。 時期をほぼ同じくしてSTX－21プロジェクトや鉄系スーパーメタルプロジェクトといった，ともに結晶粒微細化を目指すプロジェクトが開始されました。 これらの手法は高度に制御された加工と熱処理を組み合わせるものでしたが，私どもほ非常に大きなひずみを材料中に付与することにより結晶粒径を1μm以下に微細化する方法を考えておりました。