データ駆動型制御器チューニング－FRITアプローチ

摘要

本解説では，データ駆動型チューニングの一つであるFRITに焦点をあてて基本的考え方から発展的話題まで概説した．紙面の都合上，VRFTとの比較については他の解説などを引用するのみとなったが，VRFTやNCbTとの理論的な観点から新たな比較も行われている．今後，実応用のさまざまな場面で利用され，より汎用性のあるチューニング手法として発展することを期待したい．なお，ノイズの影響や初期データのPE性といった実用上必要不可欠になる問題への取組み，非線形系，時変系，分布系，量子化制御など対象の広がりに対する拡張，モデルと制御の同時更新を軸としたこの二つの相互作用の解析，そして，データ駆動型制御全般の未解決問題である安定性の保証といった理論的課題など，多くの研究課題も残されており，今後の研究や開発の動向に注目したい．