大学入試センター試験における選択科目間の得点調整について

摘要

本稿では，大学入試センター試験の選択科目間の平均点が大幅に異なる場合に用いられる分位点差縮小法について解説した。 この方法は,先にも述べたように，得点調整に際するさまざまな社会的要請を満たすものとして考案されたもので，純粋に心理測定の見地から考案されたものではない。 方法を考案した得点調整検討委員会は，心理測定や統計の専門家のみならずさまざまな分野の専門家によって構成されていたが，各委員の意見が，ωとαの2つの定数の形で集約されたものであるといえる。 心理測定の立場からは,目標分布として，平均点60点をもち0点から100点の範囲で正規分布に近い形で分布するものを考え，α＝0，したがってω＝1という形で等百分位法を行うのがオーソドックスであろうと思われる。 しかし,平成10年度に分位点差縮小法による得点調整が実際に適用された際に，大きな抵抗もなく受け入れられたということは,大学入試センター試験の選択科目の得点調整法として，この方法が社会的に認知されたということであろう。