ネットワークセンシングの現状と展望－第1回：センサのネットワーク化の目的·技術要素·発展方向·研究課題

摘要

センサネットワーク，特に無線センサネットワークの研究が急速に拡大している．センサは同時に通信ノードであり，自分が検出した情報を発信するだけでなく，周囲の他のセンサの情報を中継する．このような多数の通信ノードの自律協調動作により面的に尽くされた通信環境を実現する．また，これにより多数のセンサの情報をどこからも自在に活用できる環境を実現する．これが無線センサネットワークの目標である．けれども，多くの討測技術者ヤシステム技術者にとって，これはシステムのハードゥエアにやや傾きすぎた概念提示や問題提起になってはいないだろうか．確かに面白そうで何かはできそうだが，いったいどのようなセンシング機能が得られるのか．何に応用するのが適しているのか．どのくらいの規模で展開する必要があるのか．コストはどれだけかかるのか．はたしてそれに見合うだけの価値が生み出せるのか，等々．これらはセンサネットワークを初めて知った多くの技術者の共通の感想であろう．実際，ネットワークセンシング調査研究会でわれわれはこれまでにたびたび講演会を開催したが，多くの参加者から同様な質問が繰り返し寄せられた．考えるに，センサネットワークの機能面，応用ソフトウエアやコンテンツからの概念提示や問題提起が必要なのである．これを提供しょぅとするのがネットワークセンシングの概念と研究分野である．