高温超電導材料の現状と課題

摘要

層状銅酸化物において高温超電導が発見されてから間もなく最初の四半世紀が過ぎる．銅酸化物の超電導体は，いわゆるセラミックスであるほか，多元素化合物，短い超電導コヒーレンス艮層状構造に由来した大きな異方性，さらには超電導のd波対称性によって，その材料開発は従来の金属系超電導体での経験を上回る困難なものであった．もじ，銅酸化物の高い臨界温度（れ）という魅力がかナれば，材灘開発の対象にならなかったと思われる.言い換えれば，従来の超電導応用において必須であった液体ヘリウム冷却からの脱却による広範な超電導応用の可能性が，材料開発における困難を克服する唯一の動機であったと言える.