セラミックスにおける産官学連携とベンチャー起業：大学·研究機関からの起業－創薬ベンチャー企業A社の起業事例を通して

摘要

1998年に大学等技術移転促進法，いわゆるTLO法が施行された．これが契機となり，日本においても大学·公的研究機関にて創出される研究成果を，研究機関自身が権利化することが進展し，本格的な商業化がスタートした．私自身も，1999年から，国内の医学·バイオ分野の研究成果から，高い成長性を目指せるベンチャー企業を育てることに取り組み始め，以来10数社のいわゆる大学発ベンチャー企業の立ち上げに，投資家という立場で関わってきた．2002年には，医学·バイオ分野の大学·研究機関からの起業を，創業時点からサポートすることに特化をしたベンチャー投資会社「ウォーターベイン·パートナーズ」を3名の仲間とともに立ち上げ，国内では従来では難しいとされていた創業期·シード期のベンチャー投資に，むしろ大きな投資機会を見出している．このような投資方針ゆえに，創業陣とともに事業の立ち上げをどのようにするかという課題と，投資家の立場でいかに企業の価値を高め株式公開というひとつの成功ポイントまで到達するかという課題の両方に取り組むことができた．