二段階燃焼合成法によるTiAl基,Ni_3Al基複合金属間化合物の相·組織と機械的性質

摘要

本研究では，TiAl-Ni_3Al複合金属間化合物を燃焼合成させた場合に生じがちなTi_2NiAl_3（τ_3）相やTiNi_2Al（τ_4）相を避ける目的から，Ti-Ni-Al三元系組成図のTiAl近傍，Ni_3Al近傍での二段階燃焼合成を試みた．（1）二段階燃焼合成法により，Ti-Ni-Al三元系組成図のTiAl 近傍および，Ni_3Al近傍の化合物を作製できた．（2）TiAl近傍の合成体は，TiAl相＋Ti_3Al相＋Ti_2NiAl_3（τ_3）相からなり，圧縮試験からこの合成体は脆く硬く，構造用材料として適さぬことが分かった．組織観察，相分析から，Ti_2NiAl_3（τ_3）相が機械的性質を悪化させる原因と考えられた．（3）Ni_3Al近傍の合成体は，Ni_3Al相＋NiAl相，あるいはNi，Al 単相からなり，圧縮試験から，Ni_3Alへの微量のTi添加は，延性改善のうえで効果的なことが分かった．Ni_3AlへのTi 添加によって，合成体のO_2，N_2，H_2O量を低減し，またNi_3Al 結晶のAl原子とTi原子が置換して，合成体の延性を向上させたと考えられる．（4）Ni_3Alの延性改善策としては，Bの添加が良く知られており，今後，Ti添加のNi_3Alについても，B添加の効果を調べる必要がある．