希土類元素添加片状黒鉛鋳鉄の機械的性質と硫化物形態に及ぼすフェイディングの影響

摘要

片状黒鉛鋳鉄溶湯にミッシュメタルを添加し，高周波誘導炉またはシリコニット電気炉で保持した溶湯のフェイディング特性について調べた結果，次のような結論を得た。 （1）ミッシュメタル添加直後の溶湯のテル深さは減少するが，溶湯保持時間増加とともにチル深さは大きくなる。 その傾向は高周波誘導炉保持潜湯の方が大きい。（2）ミッシュメタル添加直後の溶湯の引張強さば最大で，溶湯保持時間増加とともに引張強さば減少する。 （3）シリコニット電気炉で30分保持した溶湯にはCeは含有していたが，高周波誘導炉で30分保持した溶湯にはCeは含有していない。 （4）ミッシュメタル添加直後の溶湯の硫化物（RE，Mn）Sから，RE_4MnS_7に相当する分析億が得られ，その周りを黒鉛が取り囲んでいた。（5）シリコニット電気炉で30分保持した溶湯では，（RE，Mn）Sの複合硫化物は減少し，化合物の中心がRE硫化物で，外側はMnSになっている化合物が数多く観察された。