放射光を用いたLiイオン二次電池用正極材料LiNi{sub}0.5Mn{sub}0.5O{sub}2の構造変化の研究

摘要

高性能化を目指したリチウムイオン二次電池に関する研究が活発である．民生用の携帯機器だけでなく，ハイブリッド自動専用動力源としての期待も大きい．現在，正極材料として実用化されているLiCoO{sub}2は埋蔵量が乏しく毒性のある払を含んでいることから他の遷移金属を用いた新しい物質が求められている．LiNiO{sub}2やLiMn{sub}2O{sub}4をベースとした材料が広く研究されているが，熱的安定性や高温での容量劣化などの問題が依然として未解決である．LiNi{sub}0.5Mn{sub}0.5O{sub}2は4.0Vにて理論容量のほぼ半分に相当する150mAh/gの容量を示し，かつ良好なサイクル特性を有することから，LiCoO{sub}2に替わる将来有望な材料として注目されている．しかしながら，充電·放電に伴う詳細な構造変化について十分に理解がなされているとはいえない．本研究では，我々は高輝度，高分解能を有する大型放射光を利用した粉末X線回折，およびX線吸収微細構造(XAFS)測定を行うことで，充電過程による構造変化について，平均構造をRietveld解析，局所構造をEXAFS解析することにより詳細に検討した．