プリオン：脳細胞を殺す病原体

摘要

アルツハイマー病，パーキンソン病など脳細胞が犯される病気が広く知られるようになってきました。高齢化に伴って発症する，治癒する可能性が無い難病です。 これらは伝染ではありません。ある種の神経毒によって脳細胞が死滅していくことによって起こると考えられています。これに対して，最近大きな問題となっているのは，クロイツフェルト·ヤコブ病という伝染性の病気です。この病原体は普通の細菌やウイルスとは違って，高塩高熱に曝しても，強い放射線を照射しても死滅せず，感染力を保つことが確かめられています。 新しい種類の病原体が21世紀の人類を脅かそうとしています。 羊や牛で発生している，脳がスポンジのようになって，最後には確実に死にいたる恐ろしい病気で，困ったことに動物からヒトへと感染することが分かってきました。プリオンと呼ばれる，この病原体の正体ほ何か,感染発病を防ぐにはどうしたらいいのか，現在多くの研究者によって研究されていますが，まだほとんどのことが分かっていない状況です。