原発シュラウド·再循環系配管ステンレス鋼のひび割れ問題（その後）

摘要

2002年8月，東京電力BWR（沸騰水型原子炉）の炉心シュラウドと再循環系配管のひび割れ隠しが発覚して3年近くが経つ。 停止していた東電17基の原発も1年余後には全て運転を再開した。 一方，昨年（2004年）8月，関西電力美浜原発3号機で，2次冷却系配管が破裂し作業していた下請け労働者11名が被災し，そのうち5名が死亡するという大事故が起こった。 この痛ましい事故の陰に隠れて，ステンレス鋼の応力腐食割れ（SCC）の問題は世上の注目の的ではなくなっているが，問題が解決したわけではない。 JCO事故といい，美浜事故といい，原子力産業ではあまりに問題が起こりすぎる。 労働災害における「ハインリヒの法則」（1つの大災害のかげに29の小災害，そのかげに300の異常がある）ではないが，取り返しのつかない巨大事故がやがて起こるのではないかという不安が胸をよぎる。 筆者は，本誌2003年11月号に上記表題で解説を書いたが，本稿ではその後の事態や研究の進展についての調査結果を報告する。