ウィットワースとナスミス－機械加工業の発展

摘要

19世紀に入って英国の鉄の生産が急激に伸びた．1806年に銑鉄の生産量は25万トンをこえ，1820年以降は10年ごとに倍増した．大量の鉄が製品として，それぞれの形状に加工された．昔からの鍛冶屋の手作業では手におえない量であった．もともと鉄の工業材料としての特長は，硬くて強く，正確で変化しない寸法形状にある．その利点は適切な加工がほどこされてはじめて発揮される．精度の高い製品を大量に生産するため，数々の加工法が工夫され，工作用の機械が開発された．19世紀の鉄の歴史は一方で金属の加工の歴史であり，工作機械の発展史であった．