1mass％Si含有低炭素鋼の再結晶焼鈍時の表面濃化挙動に及ぼす鋼中Mn添加量影響

摘要

1mass％Si添加鋼において，Mn添加量と露点が変化した場合の表面濃化及び内部酸化挙動を調査した結果，以下のことが明らかになった。 （1）鋼中Mn添加量が1mass％までの場合，鋼中Mn添加量増加に伴いSi，Mn表面濃化量が増加した。 これはMn添加量増加に伴い，鋼板表面における表面濃化物が，保護性でかつ鋼板素地の酸素ポテンシャルを低下させるSiO_2から粒状に成長し易くバリア効果が小さいMn_2SiO_4へと変化し，選択酸化反応が促進したためと考えられる。 （2）鋼中Mn添加量が1mass％越えの場合，露点-30℃ではSi表面濃化量が減少し，内部酸化量が増加した。 これはMn添加量の増加に伴い，より低い酸素ポテンシャルでバリア効果が小さいSi，Mn複合酸化物が生成するようになるため内部酸化し易くなったためと考えられる。 （3）同じく鋼中Mn添加量が1mass％越え，露点-30℃の条件の場合では，Mn表面濃化量は鋼中Mn添加量が2.5mass％まで漸減した後，2.5mass％越えでMn表面濃化量が増加した。 これは，Mn添加量が多いため，内部酸化されずに鋼板表層に残存した固溶Mnが表面濃化したためと推定される。