煩雑なプロセスと多大なエネルギーを必要とする希土類金属を主成分とする希土類磁石は,これらのスクラップのリサイクルにおいて,単に酸等に溶解し酸化物やハロゲン化物を経てスクラップから再度希土類金属へ再生するのではなく,その高位にある金属成分の化学的ポテンシャルを利用して,より環境への負担が小さい効率的な関連材料への再生プロセスの構築が必要と考えられる.一方,希土類の産出地は地域的に限られており,更に含まれる希土類成分の割合が多くThなどの放射性元素を含まない,いわゆる"採算に合う鉱石"が多量に産出する地域は,中国,旧ソビ工トを中心としたCIS諸国(Commonwealth of Independent States,独立国家共同体)およびアメリカを主とした各国にほぼ限定される.従って,上記の主要産出国のいくつかが国際情勢により微妙な立場をとる可能性をもつことを考慮すると,希土類資源が皆無である我が国にとっては,希土類原材料の安定供給という点では常に不安定要因を内包することになる.
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