歯科用チタン系合金およびCo-Cr-Ni系合金の現状と近未来展望

摘要

加工性に優れ，口腔内での耐食性と生体親和性が十分な金属材料として高カラット金合金は古くから歯科用合金の王座の位置を占めてきた．その耐食性は貴金属に由来しており，おのずと高価な金属材料であることに変わりはない．安価な卑金属（非貴金属）を口腔内で使用する試みは歯科材料研究の積年の課題でもある．近年の加工技術の進歩とともに，卑金属合金で不動態に由来する十分な耐食性をもつ合金として，Co－Cr－Ni系合金とチタン合金が歯科臨床に普及してきた．現在歯科治療に使用されているこれらの合金の特性と課題を紹介する．