海水環境における窒素添加ステンレス鋼の局部腐食特性に及ぼす合金元素の影響とすき間腐食の発生評価

摘要

鋼は強度と靱性を有し，加工性に優れることから，鋼構造物を使用するメリットは大きいと考えられる。 しかし海洋，海浜におけるインフラストラクチャーとしては，その腐食環境が非常に厳しいために適切な材料選定や十分な防食対策が必要となる。 海水環境での防食対策としては塗装，めっき，ライニングおよび溶射などの表面処理や電気防食あるいはその両者がなされているのが現状である。 海水中では防食表面処理が劣化するとメンテナンスができず，また電気防食においては保守管理などの長期的メンテナンスが必要となる。 そこで近年，メンテナンスフリー材料として，高Cr，高Moのフェライト系，2相系ステンレス鋼や高Cr，高Ni，高Moのオーステナイト系ステンレス鋼が実用化されている。 さらに高MoのNi基合金やTiなどは海水中でほぼ完全な耐食性を有することから，こうした材料が海水環境に使用されることもある。