粉体微粒子の表面原子構造と結合力

摘要

今回は．化粧品に用いられる粉体微粒子の付着力や結合力に関与する，複雑な物理化学的要因を丁寧にひも解き理解するために，原子の構造と物性から考察してみよう。高校の化学でも学んだ原子構造の基礎を，産業界で学んだ化粧品の物性に関するさまざまな事象を参照しながら考察すると，化粧品の使用感に関わる瞹昧な官能物性が，純粋な物理化学現象として論理的に理解しやすくなる。その結果，従来の新製品の開発方針が，根拠が曖昧な噂情報に基づく突発的な感性目標値だったことに気づくとともに，市場の売上げと商品の物性データに基づく分析から，明確な技術目標として数値化することが可能であることにも気づくことだろう。他産業では当たり前のような論理的な研究開発手法が，現段階でも，化粧品の技術開発に十分に応用可能であることに気づくと期待される。