粉体技術とナノテクノロジーの接点：微粒子の複合化による生体硬組織代替材料の調製

摘要

骨や歯および歯根などを一般に生体硬組織と呼ぶ。 生体硬組織はヒトの場合，コラーゲン線維と水酸アパタイト(HAP)結晶を核にして体液からカルシウムイオンとリン酸イオンが沈着して形成されたものである。 例えば硬い骨は，HAPが約65％，コラーゲンが約25％，水が約10％であることが知られている。 骨は，特異なヘリックス構造をもつ長さ約300nm，直径約1.5nmのコラーゲン線維上に，それと配向を等しくして，長軸径約30nmの水酸アパタイト結晶が規則的に配列した構造を持っている。 この複合構造によって骨の物理的性質が飛躍的に向上している。 すなわち，骨は，水酸アパタイト結晶およびコラーゲン線推を主成分とする複合材料と理解することができる。