第10回 中国·蘇州から見た中国のモノづくり

摘要

先月号では、中国の蘇州について触れた、。 今月号も引き続いて蘇州での体験をもとに中国のモノづくりについて2つの話をしたい。 1つは、最近中国でよく目にする電動自転車について、もう1つは、中国のローカル基盤的技術産業についてである。 最近、慶應義塾大学の駒形哲哉さんの『移行期中国の中小企業』（税務経理協会）という本が出版された。 中国の豊富な実態調査を踏まえて書かれた、興味深い本である。 その中で「ペダルのない自転車」が取り上げられている。 「ペダルのない自転車」というのは、電動自転車のことである。 電動自転車といっても、日本の電動アシスト自転車とは異なり、ペダルはなく、完全に電気で動き、見た目はスクーターとそっくり。 中国では最近、都市部を中心に電動自転車が多く走っており、蘇州市内でもよく目にする（図1）。