軟骨再生における多孔質基板材料の開発と応用

摘要

軟骨には神経も血管もなく、修復能力が非常に限られている。特に関節軟骨は損傷するとほとんど修復されることはない。そこで、再生医療の方法を用いて関節軟骨欠損を治療する研究が近年盛んに行われている。 この方法では、患者自身かち取り出した細胞を、培養担体と生理活性物質とを組み合わせて培養することにより、軟骨組織を再生し、移植する。 体内の関節軟骨細胞はタイプⅡコラーゲンヤアグリカンなどの細胞外マトリックスに囲まれ、丸い形態を示す。 しかし、軟骨細胞を生体外の培養皿上で培養（二次元培養）すると、細胞は丸い形態から長細い繊維芽細胞様に変化してしまう。さらに、関節軟骨細胞が産生するタイプⅡコラーゲンとアグリカンの細胞外マトリックスは作られなくなり、かわりにタイプⅠコラーゲンが産生されるようになる。 これは二次元培養により関節軟骨細胞が脱分化によるものである。