プラスチック材料の軌跡と明日への展望/（4）関連用途の今昔/19 自動車分野に見る高分子材料（その5）

摘要

外板パネルとは，自動車の車体表面に取り付けられた平面形状部品を意味する。 したがって，エンジンフード，フェンダー，ルーフ，ドア，クオーターパネル，トランクリッドなどのことである。 初期のガソリン自動車は，シャーシにシートを取り付けただけの走行機能本位の構造であったが，1899年にルノーが史上初の箱型車体構造を採用した。さらに，1900年代初めになると，フロントに配置するようになったエンジンにはエンジンカバーを付け，ボディには側面にドアを付け，ウインドウシールド（風防ガラス）を備えた車が出現して，ここに，ボディ外板をもつクローズドボディ車の本格的誕生となった。 外板に使用された材料は，当初は主として金属材料であった。 プラスチックが初めてこの部品に使用されたのは，1941年に「ヘンリーフォードI」が14枚の木繊維強化フェノール樹脂外板でできたクーペを試作したことに始まる。