破壊靭性の板厚依存性についての考察

摘要

破壊靭性にはいくつかの種類がある。原子炉圧力容器用のような極厚鋼板を対象に，平面歪状態での破壊靭性は，主として米国で検討が進められてきた。これらは静的破壊発生の破壊靭性K_(1c)，脆性き裂停止の破壊靭性K_(1a)であって材料定数的な意味も持っている。一方，本邦では舶用鋼板，低温容器などの比較的薄い板厚の鋼板を対象に，構造物に使用される板厚の鋼板について静的破壊発生の破壊靭性K_c，CTODδ_c，脆性き裂停止の破壊靭性K_(ca)が用いられている。破壊靭性の板厚依存性を定める必要性は，シャルピー試験のような簡便な小型試験の結果から構造物に用いられている板厚の鋼材の破壊靭性を推定することにある。