画像領域分割技術を用いたCT画像での肺結節の自動体積計測

摘要

肺がんの診断と経過観察においては，結節の大きさを正確に測定し，その変化を観察することが重要である。従来，医師がCT（コンピュータ断層撮影）の2次元画像上で結節の最大径と最小径を調べることによりその大きさを測定していたが，手間が掛かるうえに再現性と精度が低いという問題があった。東芝及び東芝メディカルシステムズ（株）は，国立大学法人神戸大学（以下神戸大学と略記）との共同研究で画像領域分割技術を用いてCT画像における肺結節の体積を自動計測する技術を開発した。肺結節には，内部が詰まった固形状（充実性）とすりガラス状の二つの組成が存在するが，周辺組織との画像コントラストが低いために体積計測が難しかったすりガラス状組成を含む結節にも対応した。模擬結節を用いた評価実験により体積計測の精度を定量的に検証した結果，同様な実験設定での報告例と比べて，二つの組成ともに小さい誤差で計測できることを確認した。