上気道閉塞パターンを呈し声門下狭窄を伴ったWegener肉芽腫症の1例

摘要

症例は23歳，女性.主訴は労作時呼吸困難?喘鳴?乾性咳嗽.2004年5月より左耳漏，両側難聴， 嗄声が出現.近医耳鼻咽喉科で両側鼓室内に充満する肉芽形成を指摘された.生検にて好中球優位な肉芽組 織所見を認め，好酸球性中耳炎の診断で耳漏ドレナ一ジおよびステロイド局注を施行されていた.また，声 門下狭窄を認め特発性声門下狭窄症としてプレドニゾロン2mg内服で経過観察されていた.2009年2月 労作時呼吸困難?喘鳴?乾性咳嗽が出現し，胸部X線写真で両肺野に多発結節影を指摘された.CTガイド 下肺生検による病理学的組織所見と臨床症状よりWegener肉芽腫症と診断し，シクロホスフアミドを含め た寛解導入療法を開始した.症状は速やかに軽快したが声門下狭窄は改善しなかった.確定診断までに時間 を要し，寛解導入療法でも声門下狭窄の改善を認めなかったWegener肉芽腫症を経験した.