公園管理における在来種保全のための取組み国営武蔵丘陵森林公園を事例として

摘要

現在，国営公園は全国で16カ所が開園しており，他の都市公園に比べて広大な供用面積（平均で約150ha）を有する。 広大な敷地内に保有する自然資源も豊富であるため，多くの国営公園では園内の自然環境を保全する取組みのひとつとして,自生する在来の草本植物の保全を目的とした管理が実施されている。 なかでも,国営武蔵丘陵森林公園＝以下「森林公園」という）は既存林を公園化して以降,30年以上の公園管理のなかで蓄積された，園内の在来種の保全·活用に関する実績を有するため，本稿では代表的な事例として取をり上げた。 森林公園は，埼玉県比企郡滑川町および熊谷市にまたがる東西約1km,南北約4km，面積304haの丘陵地に位置する都市公園である。 園内の植生はかつて豊山林として利用されてきたアカマツやコナラなどの二次林が中心であり,林床は主にアズマネザサが優占している。 定期的に間伐や下草刈を行っているエリアでは巨樹林地内の散策や鑑貴が可能であり，「武蔵野」の面影を現在でも垣間見ることができる。