根治的前立腺摘除術後の尿意切迫感·尿失禁に対する鍼治療の有用性

摘要

【目的】根治的前立腺摘除術後に持続する難治性の尿意切迫感·尿失禁に対する中髎穴鍼治療を試みた。 【症例】根治的前立腺摘除術から4カ月以上経過しても持続する尿意切迫感·尿失禁を訴え,薬物療法が奏功しなかった前立腺がん患者3名に対し,中髎穴への刺鍼を週に1回·計4回行った。 評価は治療後の主訴の変化に加え,症状の自覚的な評価には国際前立腺症状スコア（lnternational Prostate Symptom Score；lPSS）を用い,客観的な評価には排尿記録を用いた。 【結果】治療後尿意切迫感と切迫性尿失禁は改善したが,腹圧性尿失禁は残存したままであった。 IPSSの点数は改善を示した。 排尿記録からは1回排尿量の増加と排尿回数の減少が認められた。 【結語】中髎穴鍼治療は根治的前立腺掃除術後の尿意切迫感·切迫性尿失禁に対して有効な治療法の1つになり得ると考えられた。