川井式装置による地球内部探査

摘要

紀元前4世紀にギリシャの哲学者アリストテレスは地球が球状の物体であることを最初に指摘したとされているが，長い間その内部の有様は人々の空想の対象であった。 20世紀に入って地震学の進歩とともに地球内部構造の実証的な解明が進められるようになった。 Fig．1は地球内部の平均的な地震波速度と密度の深さ分布モデル(PREM)である。 半径約6400 kmの固体地球は深さ2900 kmを境に上方の岩石からなるマントルと下方の鉄合金からなる核に大別される。 マントルは深さ410 kmと660 km に観られる地震波速度の不連続的増大で特徴づけられる。核はばとんど流体であるが，中心には半径約1200 kmの固体球（内核）が存在する。