原油安が素直に喜べない時代

摘要

日本は、1973年に勃発した第1次石油ショックによる原油価格の高騰により、1974年には戦後初めてマイナス成長に転落した。当時は、一次エネルギーの77.4％を石油に依存し、安価で大量の中東諸国の原油を基礎に高度経済成長を達成していた日本経済は大打撃を受けた。1973年の第1次石油ショック、1979年の第2次石油ショックは、日本のみならず石油の純輸入国である多くの先進国の経済にも大きな影響を与え、原油価格の上昇分が、先進国から中東産油国への国富の流出という形で、先進国は景気停滞と物価上昇が同時に起こるスタグフレーションに直面した。