一変するのか石油産業の潮流金融バブル崩壊、変わる価格形成基盤

摘要

世界同時不況に発展する恐れを孕む米金融バブル崩壊騒ぎは石油産業の潮流をこれまでとは一変し、基盤を揺るがせかねない。 ニューヨーク原油先物市場の原油価格暴騰·暴落劇は原油価格の形成や石油需要の先行きに重大な影響を及ぼし、石油産業は価格構造や貿易構造の見直しを迫られつつあるからだ。 現在、世界の原油価格の指標となっているNYMEXのWTI原油が投機マネーの市場流入や退出に翻弄されて一気に跳ね上がったり、あっという間に下落するような危うい原油価格の現状に対する不信感がメジャーやOPECの間に醸成されつつある節も窺われる。 原油価格の乱高下が世界の石油製品貿易の流れに及ぼす影響も無視できない。 原油価格高騰時には割高であった海外のガソリンや軽油などの石油製品が原油下落局面では割安になり、これまで順調に伸びている製品輸出にブレーキがかかる恐れもある。 内需減退の突破口を製品輸出の拡大に求めている日本の石油精製業は厄介な対応を迫られよう。激しい原油価格の変動に対応するため、大手石油元売各社は製品卸価格の値決め方式を相次いでコスト連動から市場連動に切り換えているが、順調に機能し末端市場の安定化へ結びつくかどうかはこれからの重大な課題である。 米発の金融危機発生によって石油産業の潮流ががらりと変わる可能性は高い。