埋め込みFBGセンサを用いた有孔積層板の損傷同定に関する数値解析および実験結果への適用

摘要

円孔を有するCFRPクロスプライ積層板を対象とし，積層板に埋め込んだFBGセンサの反射光スペクトルを利用した損傷同定を行った．特に本研究では，従来の損傷同定手法からの計算効率の改善を試みた。 この目的のため，反射光スペクトルの波長シフトを用いた負荷ひずみ推定を順解析（損傷解析，光学解析）と組み合わせた手法，およびスペクトル形状を用いた損傷形態の推定において損傷解析の結果を初期値として利用する損傷同定手法を提案した。数値解析例および引張試験結果に対して損傷同定を実施し,以下の結論を得た。 （1）積層板に埋め込んだFBGセンサの反射光スペクトルの形状は，円孔近傍の損傷（スプリッティング，トランスバースクラック，および層間はく離）の発生，進展に伴って大きく変化することを実験で確かめた。 （2）数値解析例を入力情報とした損傷同定結果は,正解である数値解析結果と一致し，提案した損傷同定手法の妥当性を示した。（3）実験結果に対する損傷同定について，順解析のみ,負荷ひずみ推定つき順解析,提案した損傷同定手法、ならびに従来の損傷同定手法による結果を同定精度と計算効率の観点から比較したとき，負荷ひずみ推定つき順解析が最も良い結果を与えた。 （4）損傷解析の結果を損傷同定の初期値として利用することで，従来の損傷同定手法と同等の推定精度を保つと同時に大幅な計算時間の短縮を実現した。