複合材構造設計における解析の寄与

摘要

航空機構造の強度を証明する方法として,次の3通りの方法がある.①強度試験,②実績のある試験データ,③試験に裏付けされた解析である。 複合材構造では，温度と湿度環境下での強度証明が必要であるが，実物大の供試体を用いた全機環境試験は環境試験装置に大きさや能力の限界があることから難しい。 従って,環境下での要素試験あるいは部分試験を充実して,全機強度試験は有限要素法解析の検証を目的に,特殊な環境を作らないで実施する方法が合理的と考えられている。 即ち，③による証明方法を取る場合が多い。これは，米航空局FAA認定DER（designated engineering representative）の最近のコメントでもある.複合材構造の強度を証明する場合，金属構造に比べ,解析の役目が非常に重要である。 設計においても同じことが言える.例えば，金属構造の場合，板厚方向及び面内方向ともにはぼ均一な材料特性を持つが,複合材構造では,均一な材料特性として取り扱える厚さが0.13mm（1プライ）以下，しかも，繊維方向を最強にした極端な面内異方性を持つ。 従って，設計の自由度が極めて多く，逐一試験を行って設計を進めるわけにはいかない.試験に裏付けされた解析法を確立し，逆に設計の自由度の多さを利点として活用する方法が適切である.