表面修飾による無機/有機ハイプリット型ナノシートの作製方法とその特性評価

摘要

ナノシートは、厚さ約1nmの縦、横方向でμmの広さを持つ量子サイズ効果を有する単結晶である。つまり、厚さ方向は結晶のほぼ1－3ユニットから構成されており、表面または界面のみからなると言える。これまでに様々な機能性を持つナノシートが報告されているが、本研究室においてこれまで見出されてきた赤/青/緑色（Gd_（1.4）Eu_（0.6）Ti_3O_（10）La_（0.7）Tb_（0.3）Th_2O_7，Bi_2SrTa_2O_9）等の発光を示すナノシートに今回着目した。これらは比較的強い発光を示すが、これらの蛍光効率は数％程度であり、実用化を目指す上では更なる発光効率の向上が必要とされている。この発光ナノシートは、層状酸化物を剥離することによって得られる金属酸化物ナノシートでありネガティブ電荷を持ち、前述したように表面のみからなるために反応性が高く各種材料とのインターカレーション等により面白い特性を示すことがこれまでに多数報告されている。但しこのインターカレーションでは静電的な弱い結合であるため、すぐに結合が取れることなどのデメリットもある。しかし、ナノシートは、水酸基を有するため、それらはシランカップリング剤などを表面固定できる可能性がある。この反応は不可逆的であり、得られるハイブリッド型ナノシートは、インターカレーション等のイオン交換反応で得られるものに比べ化学的·熱的安定性が期待できる。更に、シランカップリング剤の種類を変えることで、様々な機能性や添加量を調整することで、層表面の官能基の分布を制御できる可能性がある。　本研究では、シランカップリング剤等による表面修飾法を用い無機/有機材料からなるナノシートを作製し、更にそれらの特性評価を行った。